

(2)内部修復の方向
ダメージした髪を薬剤を駆使して修復するためには、ダメージを受けた順番とは逆の方向から髪を直していきます。修復は元通りにすることが理想ですが、ダメージを受けた髪は元通りには回復しません。壊してしまうと構造は決して元には戻らないのです。したがって、機能という面で髪を健康な状態に近づけるというのが修復の考え方です。
ダメージした髪の場合、最初に補給しなくてはならないのはダメージホールです。ダメージホールの補修は低分子のPPTなどの補修剤では役不足です。私たちの髪は高分子のケラチン、中・低分子の分子のタンパク質やアミノ酸など、そしてオイル成分で構成されています。このコンプレックスを髪のダメージホールの中で作らなくてはいけません。例えば壁の穴を考えましょう。この穴を埋めるために低分子の粘土を使います。しかし、粘土だけでは小さな穴は埋められても大きな穴は風が吹き込むとだんだんもろくなってきて、ぼろぼろと崩れてしまいます。先人はそこにワラをねり込む事を思いつきました。ワラを粘土に練りこむと強度は著しく向上し、大きな穴でも直すことができるようになりました。これが低分子、中分子、高分子の自然界の役割です。髪を補修する際にも髪のあるべき状態を真似すること、つまり高分子、中分子、低分子を混ぜて補修します。しかし、風には強くなったが雨には弱いというのが現実で、雨がしみ込みすぎないようにしなくては完全ではありません。それがオイルの役割です。したがって修復は高分子、中分子、低分子のコンプレックスにオイルをしみ込ませておくことで、補修を長持ちさせるようにするのです。
このような考え方を内部コルテックスと外部キューティクルで行うことが修復の方向なのです。
(3)オイルの使い方
髪のオイルにも2種類あります。1つはCMCのような接着剤的なオイルで、私たちは「すべらないオイル」と呼んでいます。もう1つは皮脂のようなオイルで、私たちは「すべるオイル」と呼んでいます。オイルを用いた補修のポイントは、この2つのオイルの使い分けにあります。分かりやすく説明しましょう。
例えば学校の木造の校舎を想像します。木の床の板は相当傷んでいますよね。あなたはこれを修復するにはどうしますか?まずは先ほどの穴埋めではないですが、ところどころにある穴を補修します。おがくずや接着剤などをつかって直しました。つぎに「すべらないワックス」をつかって表面を整えてから「すべるワックス」を塗装すると表面の光沢が良くなるだけではなく、ワックスの持ちも良くなります。さびた手すりを想像します。あなたはまず錆びを落として表面を整えます。それから錆び止めを塗り、そのうえにペンキを塗ります。錆び止めを塗らずにペンキを直接塗ったら、やがてペンキはペロッと剥がれてしまうでしょう。
毛髪の補修にもすべらないオイルとすべるオイルが必要で、すべらないオイルが特トリですべるオイルが裏技オイルなのです。下の例でもわかりますが、錆び止めは特トリ、ペンキは裏技オイルで希釈液みたいなものはトイトリートメントと役割を分担しています。多剤式のトリートメントにすることで髪の内部から順番に組み立てることが可能になり、これを意味を理解して使い分けることがトリートメントシステムには重要ですね。


さらにコルテックス内にすべらないオイルをしみ込ませます。
いったんキューティクル表面のオイルをとります。
そしてキューティクルに補修成分を浸み込ませます。
キューティクルにすべるオイルを塗ります。ダメージがひどい人の場合にはダメージケアトリートメントを全体に塗ってから中間〜毛先に裏技オイルを塗って揉み込んだほうが全体に広がりやすいです。
加温は効果的です。ミストはお客さまの満足度が高くなります。
酸の力をかりて髪を引き締め、補給した成分が抜けないようにします。また、擬似キューティクルであるキトサンを傷んだキューティクル表面にコートしたり、枝毛をまとめたりしながらブローすれば持ちのよいトリートメントの完成です。あとはデイリーケアで傷んだ分だけ補修します。
